【納入事例・公共施設】渋沢MIX(埼玉)
2025年9月1日、埼玉県が主催するインキュベーション拠点「渋沢MIX」がオープンしました。
「渋沢MIX」は、スタートアップ企業の共創と出会いを生み出すオープンイノベーション拠点です。名称は、埼玉県出身の実業家『渋沢 栄一翁』にちなんでいます。
渋沢翁は、近代日本経済の礎を築いた人物であり、多くの企業設立や社会事業に携わりました。その数は500社にも及び、人材を企業に紹介し、成長を促すことで日本の産業発展に大きく貢献しました。その精神を受け継ぎ、「渋沢MIX」は、人と人、企業と企業が混ざり合い(MIXする)ことで、新たな価値を生み出す場を目指しています。
インキュベーション施設に求められる条件
施設は約465㎡のワンフロア構成です。片側には外部に面した全面ガラスウォールが広がり、反対側には会議室や受付カウンターを配置。
設計は TAKE ARCHITECTS が担当し、オープンイノベーションを促すための空間的な工夫が随所に施されています。フロアの家具には、fittingbox のサブスクリプションサービスを活用していただきました。空間と家具が一体となって、柔軟で創造的な働き方を支える構成になっています。
渋沢MIXは、まさに「人をMIXさせる」空間です。壁を45°に振り、ジグザグに構成されたレイアウトや、雁行しながら伸びる通路が、移動の中で自然な交流を生み出します。イベントスペースとコワーキングスペースはゆるやかにつながり、日常の動線の中に偶発的な出会いが生まれるよう設計されており、訪れる人が“立ち寄りたくなる”空間の流れが、ここにはあります。
渋沢栄一の思想を空間に落とし込む
設計のポイントは、渋沢栄一翁の思想をどのように空間に込めるかでした。銅像や写真を置くといった直接的な表現ではなく、象徴的な素材と色でその精神を伝えています。シンボルとなるのは、「藍染のブルー」と「レンガ」の2つの素材色です。レンガは、明治時代に渋沢翁が埼玉県深谷で設立した日本初の機械式レンガ工場を想起させるもの。藍染のブルーは、渋沢翁が事業家としての才覚を発揮した藍玉づくりに由来しています。この2つの素材色を空間の中でMIXさせることで、渋沢翁の起業精神と近代日本の成長を重ね合わせています。補色関係にある藍とレンガが対話するように、空間全体にリズムと温度を生み出しています。
空間と家具の関係性
空間構成や素材・カラーは、インキュベーション施設に求められる機能性と、渋沢翁の象徴する“挑戦の精神”を両立させるよう設計されています。それをさらに深化させるのが、今回導入された家具です。イベントスペースでは可動性・耐久性・スタッキング機能を重視し、週1回程度のイベント開催を想定。コワーキングエリアでは、長時間の作業にも対応できる快適性が求められました。限られた予算の中で質感とデザイン性を両立させるため、家具は fittingbox のサブスクリプションで導入。公共施設でありながら、初期投資を抑えつつ、高品質な空間づくりを実現しています。
家具の選定は TAKE ARCHITECTS と fittingbox のコラボレーションにより実施し、イベントスペースには木の温かみとスタッキング機能を備えた ARIAKE のチェアを、コワーキングには座り心地とデザインを兼ね備えた Vitraの「Physix」を採用しました。赤・青・グレーを基調としたカラーパレットが、空間全体の素材や光と響き合っています。
公共施設におけるサブスク導入の意義
近年、公共空間は多様化し、図書館+美術館、保健所+図書館など、複合的な施設が増えています。「渋沢MIX」もまた、そうした新しい公共のあり方を象徴する場所です。fittingbox のサブスクリプション導入により、運営リスクを抑えながら柔軟な空間運用が可能になりました。家具の追加や交換、メンテナンスを通して、利用者の変化や施設の成長にあわせて常に最適な状態へと更新できる仕組みです。こうした取り組みを通じて、従来の固定的な公共施設にはなかった新しい柔軟性をもたらしています。この仕組みは、スタートアップやベンチャー企業にとっても有効です。成長や人員変化にあわせてオフィス環境を柔軟に変化させられる点で、サブスク家具は新しい選択肢となりつつあります。
まとめ
「渋沢MIX」は、挑戦と創造を支える公共施設として誕生しました。fittingbox のサブスク家具導入により、初期コストを抑えながらも、空間の質と運営の柔軟性を両立。デザインと機能、そして思想が調和した新しい公共空間のモデルとなっています。変化を前提とするこれからの社会において、サブスク家具は“空間をしなやかに進化させる仕組み”として、公共施設や企業オフィスなど、さまざまな場所でその可能性を広げています。
■プロジェクト名:渋沢MIX (https://shibusawa-mix.pref.saitama.lg.jp/)
■プロジェクトマネージメント:株式会社 電通ライブ
■設計:TAKEARCHITECTS Co.,Ltd.(テイクアーキテクツ株式会社)
■施工:株式会社 日展
■写真:Kenta Hasegawa
