人を中心に考えるオフィスデザインとは ― ハーマンミラーのチェアから学ぶ、エルゴノミクスの考え方 ―
インターオフィスは、ハーマンミラーと共催で、人間工学の視点から「座る」という行為を見つめ直す特別イベント「Sit your best」 を開催しました。
本イベントでは、エルゴノミクス(人間工学)をテーマに講義が行われました。身体への負担を軽減しながら働くために、「座る」という日常的な行為をあらためて捉え直し、これからのワークプレイスに求められる環境について考える機会となりました。
当日は、スペインのオフィス家具ディーラー Ofival のマネージングディレクターであり、エルゴノミクス(人間工学)の修士号を持つマリア・アンドリュー氏が登壇。Wilkhahn、Herman Millerにおいて、国際的にシーティングビジネスを牽引してきた経験をもとに、人間工学とオフィス環境の関係について、理論と実演を交えながら解説しました。
インターオフィスが運営する fittingbox でも取り扱っているハーマンミラーのチェアを例に、椅子・机・照明といった要素が、身体の使い方や働きやすさにどのように関係しているかが具体的に解説されました。
エルゴノミクスとは「環境を人に合わせる」こと
講師のマリア氏は、エルゴノミクスとは、人が無理をして環境に合わせるのではなく、「環境や道具を人の身体や使い方に合わせて設計する」考え方だと話しました。
インテリアデザインは視覚的な美しさが注目されがちですが、「人がどう動き、どう使うか」という観点で考えることが重要であると強調しました。

なぜ調節可能な家具が必要なのか
講義では、人の体型や身体寸法が大きく異なることにも言及されました。
・身長や骨格、腰の位置は人それぞれ異なる
・一定サイズの家具では、必ず無理が生じる人が出てくる
そのため、具体例として、
・高さ調節可能なデスクは、立って使うためだけでなく、正しい座り姿勢を得るためにも有効
・デスクの位置が高すぎる場合、チェアを上げるだけでは足が浮き、血流を妨げるため、フットレストなどで足の位置を調整することが望ましい
・モニターを使った作業では、画面の上部に目の位置が来るように調整する必要がある
といった実務的なアドバイスが紹介されました。
椅子は姿勢を固定するものではない
講義の中でも特に多くの時間が割かれたのが、椅子の役割についてです。マリア氏は、椅子は身体を一つの姿勢に「固定」するものではなく、人の動きに合わせて常に身体を支える存在であるべきだと話します。
また、椅子のサポートは人によって位置が大きく異なる腰部(ランバー)ではなく、骨盤や脊椎の下部(仙骨)から支えることが重要だと説明しました。

Aeronチェアに込められた設計思想
ハーマンミラーの代表的なチェアである Aeron(アーロン) の名前の由来についても触れられました。「Aeron」という名称は、“空気に座っているような感覚” をイメージしたもので、デザイナーは「座っていることを感じないほど快適な状態」を目指したとのこと。
快適さを「強く意識させるもの」のではなく、自然に身体に馴染む状態を目指しています。
快適さは家具だけでは決まらない
快適なオフィス環境をつくるためには、家具だけでなく空間全体を考える必要があります。講師のマリア氏は、不快感を生みやすい点として以下の要素を挙げました。
・照明の強さや色温度
・換気や空気の流れ
・窓や自然要素の有無
これらを調整することでも、ストレスの要因を減らすことができると説明しました。
イベントの学びを、これからのワークプレイスへ
本イベント「Sit your best」では、椅子や机を単体として捉えるのではなく、人の身体や使い方に合わせて整えることの重要性が、講義と実演を通して共有されました。
人の体型や姿勢、動き方は一様ではなく、その違いに対応できる調節性や柔軟性が、快適な業務環境を支えるということを改めて実感しました。
「座る」という日常的な行為を見直すことは、働く環境そのものを見つめ直すことにつながります。今回のイベントは、これからのワークプレイスのあり方を考えるための、ひとつのきっかけとなる時間でした。
fittingboxでは、ハーマンミラーのチェアや上下昇降デスクなどを、月額で試しながら導入できるプランをご用意しています。実際の座り心地を確かめたい方は、ぜひショールームでご体験ください。ご相談やお問い合わせも、どうぞお気軽にお寄せください。
