デザイン、家具で社会を変える
〜Homedoorを通じた生活困窮者支援〜

■インターオフィスの理念と社会貢献
私たちインターオフィスは、「“Good Design is Good People”〜良いデザインは良い人を生み出す、また良い人が良いデザインを生み出す〜」という理念のもと、社会貢献活動に積極的に取り組んでいます。
オフィスや生活空間に優れたデザインや家具を提供し、快適で創造的な生活環境を創出することで、豊かな人間性を育むことを目指しています。この活動は、私たちの企業の成功だけでなく、より良い社会の実現にも貢献するものと考えています。
今回、活動の一環として生活困窮者の自立支援に取り組むNPO法人、「Homedoor(ホームドア)」のインクルーシブシェルター「アンドベース」へ、住環境の改善と社会復帰を支援するための、家具を提供させていただきました。
■Homedoorとの取り組み
私たちは、オフィス家具のサブスクリプションサービス「fittingbox(フィッティングボックス)」を通じて、家具の再利用について日頃から社内で積極的に意見交換を行っています。今回のご連絡をきっかけに話し合いを重ねる中で、この取り組みが具体化し、家具を必要とする生活困窮者支援に役立てることができ、社会貢献の新たな形を見出す事ができました。
Homedoorについて
「Homedoor」は、大阪を拠点に生活困窮状態にある人々の生活支援や自立支援を行うNPO法人です。ホームレスの暮らしを支える生活応援施設「アンドセンター」や「アンドベース」、食事の提供をする「おかえりキッチン」。シェアサイクル「HUBchari」をはじめとする就労機会の提供などの就労支援や住居提供を通じて、生活困窮者の方々が自立し、社会に復帰するためのサポートを行っています。
また、最近では「携帯ブラック」の方や「他社で審査落ち」した方でも格安スマートフォンが契約できる、『誰でもスマホ』の代理店業務も開始しました。

(出典:HUBchari公式サイト※リンク先 https://hubchari.com/)
アンドベースについて
2023年7月に、人生の再出発を応援する新しいプロジェクトとして大阪に「アンドベース」が開設されました。この施設は、24部屋の個室をそなえたシェルターとなっており、対象者は失業や病気など、様々な事情で家賃が払えず住むところがなくなり困窮状態にある方々です。
アンドベースは、これらの方々が再び自立した生活を送れるよう、住居だけでなく就労支援やカウンセリングなどの包括的なサポートも提供しています。
今回、理事長の川口加奈さんに、生活困窮者の現状とインクルーシブシェルター「アンドベース」についてお話を伺いました。
■理事長・川口加奈さんへのインタビュー

ー今どのくらいの方たちがこちらで生活していらっしゃるんですか?ー
川口さん:アンドベースには24部屋の宿泊できる部屋があり、現在は半分ほどが埋まっています。最近ご家族が退居されたので、比較的空きがある状態です。入居状況は変動がありますね。
ーご家族というと?ー
川口さん:母子家庭や父子家庭の方々です。アンドベースはファミリー世帯の受け入れも想定しています。
行政の支援施設は母子家庭のみ対象で、父子家庭の場合だと、お父さんは大人向けの支援施設、お子さんは児童養護施設に分かれてしまうことが多く、バラバラになってしまいます。アンドベースではそういった制度の隙間に陥った人をインクルーシブに支援していく事を目指しています。

ーインクルーシブシェルターというコンセプトについて詳しく教えてくださいー
川口さん:以前は「ホームレス支援」というと高齢男性が中心でしたが、活動を進めるにあたり、色々な層からの相談が増えてきました。特に多くなってきたのが若者からの相談でした。
相談者が非常に若くなっているという中で、高齢のホームレス男性にしてきた支援というのとは、またちょっと違った支援が必要になってきました。若者には、非正規雇用から正社員を目指す長期的な就労支援が必要です。また、障害者や高齢者、母子や父子家庭など、多様な層を支援するためにインクルーシブシェルターという名前にしました。

ー今回、我々としては良いもの、豊かなものをきちんと使っていただきたいなという思いで選ばせていただきました。今回提供した家具についてはいかがでしょうかー
川口さん:正直言って、おしゃれすぎて驚きました。でも、生活困窮者支援のイメージを変えていきたいという思いがあったので、良い家具を使える環境ができたことは大変ありがたいです。
■アンドベースの施設内を見学
実際にアンドベース内を見学しながら、実際に家具がどのように使われているか拝見させていただきました。

「施設内は、入居されている方々にくつろいでいただけるよう、快適な空間にしたいという方向性は決まっていた」と川口さん。

このセミナー室には提供させていただいた可動式のワークチェアが使用されていました。
「よくある長机とテーブルといったスタイルではなく、可動式のため、丸円で社員研修をしたりと大変便利です」とのお声をいただきました。

退去される際に家具をもっていかれる方もいらっしゃるようで、アンドベース内だけではなく、新しい生活にも提供した家具が、役立っていることを嬉しく感じました。
■今後の課題や対応について
ー今後の課題や目標についてお聞かせくださいー
川口さん:課題は山積みです。アンドベースの運営には人員も必要で、ソフト面の支援をこれから充実させていく必要があります。
こういう対象者が困っている。何とかしたいみたいなところは前提としてあるんですけど、どういうプログラムがいいか、どういう支援をしたらうまくいくのかなど、まだ手探りの段階なので、効果的なプログラムを考え、支援を突き詰めていきたいです。

ー今後施設を拡大していくような予定はありますかー
現在、増設したばかりなので、しばらくは新たな施設の追加は考えていません。
どちらかというと、「Homedoor」自体のモデル作りを目指しており、アンドセンターとアンドベースの2つの施設を活用しながら、行政の制度として乗せて全国に広げていきたいなという考えはあります。
ー企業や個人からの支援については?ー
川口さん:ストレートすぎるメッセージにはなってしまうのですが、一番助かるのは金銭的な寄付です。アンドベースは行政からの補助金があまりなく、運営資金は寄付で賄っています。運営していくため、1口1000円/月〜という毎月の継続的な寄付をしてくださる3000人のサポーターが必要で、現在は800人から支援を受けています。
企業の皆様には、スポンサー企業としてのご協力をお願いしています。ご興味ある企業さまがいらっしゃいましたらお声がけいただけると嬉しいです。

■Homedoorとの協力で実感した社会貢献の形
今回の取り組みを通じて、私たちインターオフィスは、家具の再利用が生活困窮者支援という形で社会貢献に繋がることを実感しました。
「Homedoor」の活動に協力できたことは大変光栄であり、提供した家具が少しでも多くの方々の生活の質を向上させることを願っています。
今後もこのような取り組みを通じて、より良い社会の実現に貢献していきたいと考えています。
川口加奈さんのプロフィール
14歳でホームレス問題に出会い、ホームレス襲撃事件の根絶をめざし、炊出しなどの活動を開始。19歳で「Homedoor」を設立し、シェアサイクルHUBchari事業等で生活困窮者ら累計4000名以上に就労支援や生活支援を提供する。Googleインパクトチャレンジ グランプリ、人間力大賞グランプリ・内閣総理大臣賞等を受賞。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(2022/3)に出演。大阪市立大学卒業。1991年 大阪府高石市生まれ。
【法人情報】
認定NPO法人「Homedoor」
公式WEBサイト:https://www.homedoor.org/
ご寄付についてはこちら:https://www.homedoor.org/donate/